── QTAKE HD は現場でどのように使われていますか?
瀧 : QTAKE で収録はしますが、僕はこのデータをオフライン用ではなく、プレイバック用に使用しています。後は合成用のミキサー代わりです。どちらかと言うとそっちから入った感じですね。また、現状では素材の整理はどうしても制作部にやってもらいたい部分が多いので、現場にはまだ AJ-HPM200 も持って行きます。ゆくゆくは制作部にも QTAKE を使って欲しい、覚えてほしいと思っています。
── QTAKE HD は用途によって、様々な使い方ができますよね。
久保江 : いや、ポテンシャルありすぎでしょ (笑) 謎の多機能ソフトですね。
瀧 : 結構、僕はなんでも自分でやりたいタイプなので、ベースに Videohub など付けて、どこのモニターになんの画面が出ているか全部自分の手元で管理したいんですよ。例えば、撮影部や照明部または監督が引きの画をライティングするのに寄りの画をパッと見たいとか、ピクチャーインピクチャーで横に出しておきたいとか。あとライブスイッチャーもベースに組んでいるんですが、ほとんどの現場に持っていくようなライブスイッチャーは拡大、縮小、回転、フリップなどができないんですよ。できる物を探した時に実は QTAKE が一番安い部類になるんです。ガベージマットも切れますからね。自分の手元に置いておくマシンとして重宝してます。なのでプレイバック用に制作部などに使われてしまうと自分の手から離れてしまうのでちょっと困ってしまうのが悩みです (笑)
久保江 : QTAKE HD は多機能すぎるので、リスク分散を考えてゆくゆくは 2 ライン欲しくなるだろうなとは思ってました。
瀧 : VE として予算を聞いて機材を選定するのですが、こういった特殊なものはできるだけ QTAKE HD という項目で料金をいただくようにしています。
── 瀧さんの単価を上げてるとも言えますね。海外からの撮影チームに QTAKE オペレーターを日本で探してるって聞かれたことがあるんですが、そういう仕事は積極的にやりたいですか?
(参照 URL) QTAKE Operator : http://qtakehd.com/contact/
瀧 : 是非やりたいですね。QTAKE くらい機能が入ってると QTAKE オペレーターとして一つの仕事になると思うんですよね。
── QTAKE HD はどのような構成で使っていますか?
久保江 : MacBook Pro Retina (15-inch, Early 2013) と AJA の Io XT です。最近ではワコムの Cintiq Companion Hybrid と QTAKE を組み合わせて、タッチパネルでの操作を試しています。
── QTAKE HD は主にどのような作品で使用されていますか?
瀧 : CM ですね。8〜9割 CM ですが、とりあえずどんな現場にも持っていくようにしています。今はこの機材があると違うねって思われるようにしていきたいので。先日は QTAKE だけで CM 撮影をしました。移動の多いロケ現場で、いつもの機材を持っていけなかったので、ペリカンケースに MacBook Pro (QTAKE) だけを詰めていきました。
── QTAKE HD の長所は?
瀧 : 今までやらなかった見せ方をしてあげると撮影部が喜ぶことが多いですね。今までのスイッチャーだとプレイメモリーに入れてピクチャー・イン・ピクチャーで出していたのですが、それが単純にループで走るって言うだけで全然違いますし、意外と評判が良いのはグリッドとマスキング機能です。最近のカメラは 5K や 3K で撮れるので、最初からスタビライズ用などで 80% くらいのサイズで撮る場合があるんですが、任意のマスクなどが出るのは良いですね。
── QTAKE HDの短所は?
瀧 : 強いて言うと*モニターアウトが 4 フレームくらい遅れるところですかね。それが許される環境であれば問題ないですが。それ以外はなんの問題もないですね! 現場で今までこれがあったらいいなって機能がほとんどカバーされています。最近、VE は高級品という風潮があって、そんな中で自分達がどうやって勝ち残っていかなければならないかを考えた時に、まずは大前提として撮影部の安心を確保するのは当たり前として、プラスαどこまでいけるかって言うのが重要でして、もう一歩何かをしてあげられるかなってところが機能としてほとんど QTAKE に入ってる。
* : SDI 出力時は数フレームのディレイが発生します。DVI から出力すると (AJA ROI など) ディレイをさらに少なく出来ます。
久保江 : しかも更に機能が増え続けてるという… 追いつけないよ (笑)
── 最後に QTAKE HD についてのご感想、今後のご要望などお聞かせください。
瀧 : 結構いろんなことやっても音をあげないソフトですよね。さすがに裏でグレーディングソフト走らせたらコマ落ちしましたけど (笑) あとは QTAKE HD で撮影データを整理して、編集用に PDF (カット表) を出したりしたいですね。QTAKE HD は Pomfort 社の Silverstack 等とは違い、撮影しながらデータを打ち込んでいけるので便利そうですね。Silverstack と連携もできるようですし。ただ検証がしきれていないのと、どこまでやるかですね。例えばオフライン編集を撮影現場で行う際はサーバーを立てて、そこに撮影データが自動的にあがるようにして、必要なテイクはそこからすぐに渡せるようにしたりとか… 良く一緒に仕事するエディターさんとそんな話ができればいいんですけどね。
久保江 : 今後も QTAKE HD のマニアックな進化に期待しています!