番組収録に Ki Pro シリーズをフル活用
株式会社クロステックは、テレビ朝日系列で 2014 年から放送している中山雅史と山崎弘也の冠番組「ゴン中山 & ザキヤマのキリトル TV」の収録で合計 24 台の Ki Pro を使用した ProRes ファイル収録を行なった。ファイル収録、サルベージ、クリーニング等、高いデジタル技術を持つ同社では 2012 年の創業当時から Ki Pro を導入、運用しており、2014 年には Ki Pro Rack を導入、2015 年に Ki Pro シリーズの最新製品である Ki Pro Ultra を導入している。
今回の番組収録では 上記 Ki Pro シリーズ 3機種を現場に投入して、収録を行なった。
時間短縮と品質保持のために ProRes 収録をメインに採用
これまでは収録当日に HDCAM 収録と同時デジタイズ (テープの素材を SD にしてファイル収録) を行っていたが、今回は収録日からオンエアまでの時間があまりなかったので、番組制作サイドからできるだけ早く作業を始めて、要件ギリギリまで編集を行いたいという要望があった。こういった背景から、本線もファイル収録で行うことを株式会社クロステックイメージコーディネーター 知々田 治氏は決心したという。
知々田氏「今回からファイル収録を本線として行うことにしました。Ki Pro Ultra 7 台と Ki Pro Rack 5 台に本線の HD 信号を入力し、その出力を 7 台の Ki Pro Rack と 5 台の Ki Pro に入力し、内部で SD にダウンコンバートしたオフライン用途のファイル収録も同時に行ないました。念のため予備として HDCAM も回しました。3 時間の素材でしたが、SD は 1 時間後に納品、HD は翌日には納品できました。12 系統の収録でしたので、サブのレコーダーも大量に準備しました。」
収録完了後、1 時間でオフライン編集がスタートでき、翌日には HD の素材がデータ化され納品されているため、収録の翌日には HD での編集が出来る。テープベースでは考えられないスピードである。
収録現場では 24 台全ての Ki Pro は Ethernet 接続されており、WEB ブラウザから各 Ki Pro 端末にアクセスし、設定が行えるようになっていた。収録にはギャングレコーディング機能を利用し、ブラウザ上でマスター機を REC スタートすると一斉に録画が開始される仕組みとなっていた。
4K 60P への対応が Ki Pro Ultra 導入の決め手
知々田氏「Ki Pro Ultra 導入に至った経緯として、Ki Pro、Ki Pro Rack を採用してきた経験があります。Ki Pro を採用した一番の理由は、信頼性のある HDD が採用されていること、専用ケースで保護されている等、メディアの安全性が保たれている点でした。HDD だと、サルベージに優位性があって、物理障害以外ではなんとかなりますし、クリーニングしていれば、フレームスキップ等の問題も避けられますので。」
「また、お客様の編集環境が Final Cut Pro だったこともあり、ProRes ファイルでの収録というのもメリットでした。頻繁なバグフィックスにも安心感を持てて選択に間違いがないと思いました。他社の同様の製品と比べて、保護性能がしっかりしている部分も気に入っています。」
4K の要望が出始めたことで、器材選定にあたり他社の器材も検討したが、オペレーションの統一ができることを第一に考え、新たに Ki Pro Ultra を導入したとのこと。
知々田氏「当初は、Ki Pro Quad を第一候補にしていましが、Ki Pro Quad は 4K 30P までの対応なので 60P の要望に応えられませんでした。そこで、発売直後の Ki Pro Ultra に目をつけました。Ki Pro Ultra は 4K 60P に対応しており、この点が導入の決め手となりました。現在、KI Pro Ultra とその他の Ki Pro シリーズでは新機能の追加などもあったりで、オペレーションに多少の違いはありますが、今後のファームウェアアップデートで解消されると思っています。オーディオは、AES/EBU が D-Sub 25pin になったことで、当初考えていた MADI との融合にも拍車がかかると期待しています。」
SSD 化によりコピー作業が高速化、モニターでイメージを確認できることも好評
昨年末の導入から毎週のように Ki Pro Ultra が撮影現場で活用されている。当初は収録メディアを SSD (Pak Media) にすることで故障時のデータサルベージに時間と費用が掛かる、静電気対策など、HDD と比べた面で不安要素もあったようだが、現在までトラブルなく運用できているとのこと。
知々田氏「収録メディアを SSD 化したことにより、コピー時間が従来よりも短縮されたこと、モニターが搭載されたことにより確認が容易になったことなど、現場からの評価も好評です。今後は、音と映像のデータ収録を容易に行えるワークフローの確立や、現在行っているインターネット中継との融合を考えています。これからもトラブルフリーな収録環境、収録方法の確立を目指します。」
ギャングレコーディング
有線LANを介して、複数台のKi Proを一斉に収録の開始・停止する機能
MADI
Multichannel Audio Digital Interface の略
Pak Media
AJA CION, Ki Pro Ultra, Ki Pro Quad 専用の SSD メディア。容量は1TB (Pak 1000), 512GB (Pak 512), 256GB (Pak 256) モデルが用意されている。