世界的なパンデミックは、映像業界にも多大な影響を与えた。撮影クルーの移動が制限されるなか、人と人との接触機会を減らしつつ映像制作を進めるため、リモートワークへのニーズはいまだかつてない高まりを見せている。映画や CM、ミュージックビデオの DIT およびカラーグレンディングを行う株式会社 GLADSAD (本社 : 東京都港区、以下 GLADSAD) は、国内外の有名作品を多数手がけており、海外や遠隔地との連携が必要なプロジェクトでは QTAKE のリモートワークフロー向け拡張サービス「QTAKE Cloud Sync」を活用している。GLADSAD 代表兼 DIT の山口 武志さんと、同社で QTAKE オペレーターを務める蓮生さんに話を聞いた。
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QTAKE は、Mac OS Xで動作する最先端のビデオアシストソフトウェアです。QTAKE は、新しい概念のファイルベース収録ワークフローを提供します。QTAKE は、撮影時にカメラ収録と同時にインジェストを行い、様々な撮影記録を効率的に整理します。撮影終了時にはデジタイズも完全に終了、即座にノンリニア編集へ移行することが可能です。同時に一連の作業をそれぞれ最大限に効率化し、さらに作品のクオリティアップを積極的にアシストします。
QTAKE Server と拡張機能で、世界中からリモートプレビューが可能に
株式会社 GLADSAD
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QTAKE を使った
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QTAKE は、Mac OS Xで動作する最先端のビデオアシストソフトウェアです。

本題に入る前に QTAKE について紹介しておこう。
QTAKE によるビデオアシストとは?
ビデオアシストとはハリウッドで生まれた概念で、収録から編集までのワークフローを効率化する機材、あるいはそれを操るオペレーターを意味する。QTAKE は、IN2CORE 社 (本社 : スロバキア) が開発したビデオアシスト業務に特化した Mac OS X 向けのソフトウェアだ。撮影時、カメラ収録と同時にインジェストを行い、キーイング、色調整、LUT 機能などを用いたモニタリングとプレイバックを可能にする。つまり、完成に近い状態を確認しながら撮影ができる。また、さまざまなメタデータ・撮影記録を効率的に整理でき、収録後にはポスプロ向けの万全なデータが出来上がるため、即座に編集作業に移ることが可能になる。QTAKE は、ハリウッド映画をはじめ、Netflix や Apple TV、CM 撮影など、世界中の撮影現場で活用されている。
QTAKE を使ったリモートワークフローとは?
QTAKE ビデオアシストシステムは、オンセット用のメタデータコラボレーションシステム QTAKE Server を中核に、必要に応じて機能を追加できる、多数のモジュールで構成されている。
リモートワークフロー向けモジュール
- QTAKE STREAM - 配信用のモジュールで、ローカルエリア内の MacOS・iOS デバイスに安全かつ低遅延な映像を配信することができる。撮影スタッフやクライアントは、QTAKE 専用の無料アプリケーション QTAKE Monitor をインストールした iPad や iPhone で配信映像の視聴が可能だ。
- QTAKE Cloud Stream - QTAKE STREAM の機能をローカルエリアネットワーク外に拡張するサービスで、世界中に安全で暗号化された配信が可能になる。さらに、QTAKE Cloud Sync サービスを追加すると、QTAKE Monitor アプリから収録クリップとメタデータにもアクセスできる。QTAKE Server に QTAKE Cloud Stream と QTAKE Cloud Sync サービスを組み合わせることで、遠隔地にいる撮影チームにも、安全な配信とモニタリング・プレイバック環境を提供することができる。
ー はじめに、QTAKE を使い始めた頃の印象を教えていただけますか?
山口 武志 (以下、山口) : QTAKE を導入したのは 2015 年頃です。初めて触った時は、ユーザーインターフェイスが直感的で動作が軽いと感じ、そして僕が DIT として求めていた機能が全て揃っていた事に驚いた事を覚えています。
一方で、撮影機材は屋外ロケや高熱を発生させる機器に囲まれる過酷な温度環境や、運搬や車での振動の中で作業をすることがよくあります。その際に QTAKE は、他の撮影機器と比較して熱と振動に弱いという印象がありました。最近はハードウェアの進化により改善されてきていますが、当時は海外の DIT や日本の DIT と話す中で “熱、振動、耐久が不安で導入しないチーム”と、“熱、振動、耐久に不安はあるが QTAKE の機能が必要であり、各不安に対処を構築して稼働させるチーム” に分かれていました。
僕は QTAKE の機能に強い魅力を感じていたので、最初から「対処のシステムを構築して稼働させるチーム」でした。熱対策の例としては、超小型の電熱クーラーをベースに組み込んだり、真夏のスタジアムではアイシングバッグ ×3 で対処したりして。他にも色々と試しました。現時点でも、導入して良かったと考えています。GLADSAD が必要とされている仕事をする為には、QTAKE の機能と QTAKE オペレーターは絶対に必要な能力です。
蓮生 : 私は QTAKE を使い始めて、もうすぐ 3 年になります。DIT アシスタントの仕事を始めた時から QTAKE があるのが通常でした。なのでもはや、QTAKE が無かった頃はどうやって作業していたのかが想像できません (笑)。それくらい “あるのが当たり前” の存在です。

ー 実際にどのように使用しているのでしょうか?
山口 : 映画、コマーシャル、ミュージックビデオ、Netflix、Apple TV 等の撮影で、プレイバック、合成、メタデータ管理、簡易編集、映像配信などで使用しています。DIT と QTAKE オペレーターが組んで使用しています。
ー 最近の撮影で QTAKE Server と QTAKE Cloud Sync サービスを組み合わせて使用したとのことですが、いかがでしたか?
山口 : 今回、3 つのプロジェクトで QTAKE Server を使用したのですが、3 件とも海外の案件でした。「撮影場所は日本」 「DP、Gaffer、DIT、Focus puller、等々の技術スタッフは日本人」 「Director、Producer、Client 等の演技指導や決定権を持つ人たちが海外」 「現場で飛び交う言語は英語と日本語」 というケースでした。
撮影現場の QTAKE から QTAKE Cloud / QTAKE Cloud Sync を使用し、海外のチームに映像を配信しました。海外にいるメンバーは収録された映像を QTAKE Monitor アプリを使い、各スタッフが好きなタイミングでプレイバックできる体制にしていました。QTAKE Server には「docomo、au、SoftBank」の電波を利用し、電波圏外の際にドロップはしたのですが、概ね大丈夫だったと思います。
蓮生 : QTAKE Server は収録映像をいつでも自分でプレイバックできるのが良いと思います。QTAKE Server を使うのは長期間の撮影案件が多いのですが、クライアントが後々収録映像を見返したい時や、リモートの監督やカメラマンに、繋がりが気になった時などに自由にチェックしてもらえました。いくつかの配信システムを使用してきましたが、ライブ配信だけでなくプレイバック機能もあるのは、私が使用した中では QTAKE だけです。
山口 : 映像配信における QTAKE の大きなメリットは、セキュリティレベルが高い事ですね。僕は会社の代表ということもあり、セキュリティについては常に留意しなければいけないので。映像流出などの問題が起こると、クライアント、全てのスタッフ、自社にも大変な損害が発生します。
その点、QTAKE は映像制作者用に開発されているのでハッキングリスクが非常に低く、信頼度が高いです。モニタリングしている iPad からもデータを取り出せないので、プロジェクトが終了しても安心できています。

ー リモートプレビューの需要が増えているそうですが、お客様にはどのように提案しているのですか?
山口 : GLADSAD では、クライアントのニーズと予算に合わせた提案ができるように、QTAKE 以外にも、L’ESPACE Cloud View、Zoom 配信のプランを用意しています。Cloud View は安定していて ID とパスワードで視聴者を制限できますし、Zoom も視聴者をリアルタイムで視覚できます。海外案件はセキュリティの契約上、QTAKE を指定される事が多いです。指定が無ければ、お客様が希望するプランを「セキュリティ、現場体制、予算」を比較して選んでいただきます。
ー QTAKE を使っていて、印象に残っているエピソードはありますか?
蓮生 : 最近はネットワーク・ボンディングを試しています。複数のネットワーク回線を束ねて冗長性を持たせておくことで、一つのネットワーク回線で問題が発生しても他の回線に自動で切り替わるので、映像を途切れることなく配信することができます。一度ボンディングに失敗してクライアントへの映像が途切れてしまったことがあって、その際にボンディングの重要性を改めて実感しました。
ー 最後に「こうなったらいいな!」という QTAKE へのご要望があればお聞かせください。
山口 : 配信に関しては安定したネットワーク環境を構築することが前提だとは思いますが、安定が難しい時に映像ノイズを軽減する方法が QTAKE 側にもあるといいなと感じます。QTAKE Monitor 側には設定があるのですが、送信側に原因があるケースも多いので。特に、ディレクターやプロデューサーが海外にいる場合です。
QTAKE Server で複数のテイクを自分のタイミングで見る事は可能なのですが、ディレクターはテイク 1 を見た直後に役者と会話をします。しかし数十秒にも及ぶテイクの場合は、サーバーの安定した映像を見るのに時間がかかります。そうなると「配信が数秒遅れても良いから演技の映像をしっかり見たい」となります。
低遅延であることが QTAKE の良さでもあるのですが、ネットワークの状況によっては動きが早い映像がフレーム落ちする事があるので、例えば遅延を数秒持たせて代わりに映像を安定させるようなバッファ変動モードが QTAKE 側にもあると、状況に応じて選択できて便利かなと思います。
あと可能なら小型化を。DIT としてはショットマッチが必要です。QTAKE 機能の Shoot だけを搭載した「Smart Assist Mini」や「QTAKE Server Box」があれば最高です。大きなベースを持ち運べない時は多々あるので。狭い場所、山、海、車、屋上、いくらでも。
他にも希望はありますが、今後も QTAKE のアップデートに期待しています。
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導入製品
QTAKE は、Mac OS X で動作する最先端のビデオアシストソフトウェアで、新しい概念のファイルベース収録ワークフローを提供します。撮影時にカメラ収録と同時にインジェストを行い、様々な撮影記録を効率的に整理するので、撮影終了時にはデジタイズも完全に終了、即座にノンリニア編集へ移行することが可能です。同時に一連の作業を最大限に効率化し、作品の品質向上を積極的にアシストします。
- QTAKE Server : iPad·iPhone を使ったオンセット専用のメタデータコラボレーションシステム
- QTAKE STREAM : ローカルエリア内の MacOS·iOS デバイスに映像を配信するためのモジュール
- QTAKE Monitor : 配信映像の視聴に使用する MacOS·iOS 向けの無料アプリケーション
- QTAKE Cloud Stream : ローカルエリアネットワーク外に配信するための拡張サービス
- QTAKE Cloud Sync : QTAKE Monitor アプリから収録クリップとメタデータへのアクセスを可能にする拡張サービス
※ QTAKE Cloud Sync の利用には QTAKE Server のライセンスが必要です。ライセンスはレンタルライセンスのみの提供です。
QTAKE 製品レンタルに関する問い合わせ先
- 株式会社 エム·アイ·エム
- TEL : 03-3556-6708
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取材協力
- 株式会社 GLADSAD